TEAM36cycling'sBLOG[Road/CX/XC]

シクロクロスでライテクアップを目指しましょう

マチュー・ファンデルプール選手の強さを分析!

前回はシクロ本場の欧州勢から学べること・・・ある?について触れさせていただきました。ちょっと長くなってしまったので、記事を分割しましたが、レース前で少し準備などもあり投稿が遅くなりました。ごめんなさい!

はじめに

今回は、圧倒的な強さを誇る[マチュー・ファン・デル・プール]の走りを分析し、その強さの秘訣について見ていきたいと思います。

 

本人に直接聞けると良いのですが、、、、

オランダ語がねぇ・・・

レース動画見ただけで分かるのでしょうか?

その点、不安です。が、論理的な目次構成的に実践編のトップバッターに据えたものの、現時点で[なんとなくここかな?]という程度なので、記事を書きながら整理・言語化していきますよ。

不安ばかりが先行しますw

 

 

 


 

マチューの強さの秘密は?

 

 みなさん、マチュー選手の強さの秘密はどの辺にあると思いますか?

 最近のロードレースに出場していますが、この前開催された[ストラーデ・ビアンケ]でとてつもないパワー発揮していたので、やっぱり、悪路を圧倒的なパワーで乗り切っているのではないかと思います。

確認しておきたい!

youtu.be

 

とは言っても、パワープレーだけで安定的な強さを発揮するのは難しいと思います。CycloCrossならではの秘儀が何かあるのではいかと睨んでいます。

パワーとなると、パワトレしましょうという結論になってしまうので、ここは期待を込めて、何か特別な秘儀があるのではいかという仮設を元に、少し具体的に見ていきましょう。

 

恵まれた体格と圧倒的なフィジカル

 シクロのレースを見ていると、とても躍動感あふれるペダリングでぐいぐい進んでいくイメージが強いです。体格もとても羨ましいほどがっちりしていて、他の選手に比べても巨人が小さいシクロバイクに乗ってグラベルを駆け巡るような感じです。

 我々からしてみればとても憧れる力強さですが、アマチュアライダーが同じようなレベルのフィジカルを得ることはちょっと難しいですし、仮に近づくことはできたとしても、シクロクロスはやはり、パワーだけではなんともできない世界だと思います。

 ただし、フィジカルが強いことで、レース後半になっても安定したライディングスキルの発揮を維持できるということがあると思いますので、自分のライディングテクニックを、疲れが出てくるレース後半になっても、きちんと発動させるためには、フィジカルが重要ということは言えると思います。 

静と動

  では、フィジカル面を除いて見た場合、マチューの凄さはどこにあるのでしょうか。今シーズンのレースを見た感想としては、ストレートや登り坂などパワープレーで乗り切るシーンで見られる力強いフィジカルとは裏腹に、コーナーリングや下りなどのテクニカルなセクションでは、派手な乗車スタイルで荒々しくクリアするのではなく、とてもスムーズな動作でクリアしていく点がとても印象的でした。

 例えは古いですが、誰もが知っているF1ドライバーアイルトン・セナ」も、他のF1ドライバーよりも圧倒的な速さを示していたのですが、その走りを見ても「速く見えない」ことがよく語り継がれています・・・(わかる人にはわかるw)

Embed from Getty Images

 当時の対局でいえば、「ナイジェル・マンセル」。その特徴はダイナミックなマシンコントロールで、クイックなハンドル捌きや走行ラインを右に左に揺さぶるなど、古館孔曰く「荒法師」なんて異名を付与されていましたね。

 第二期ホンダ全盛期1990年前後が一番面白かったなぁ。。。

 F1ブログに衣替えですか?w

Embed from Getty Images

 失礼しました。。。何が言いたかったかというと、見た目には派手でオーバーなアクションは一見「速そう」に見えるのですが、それが必ずしも速さ(や強さ)に繋がっているかというとそういう訳でもなく、、、圧倒的な速さ(と強さ)を叩きだしていたアイルトン・セナの走りを外から見た際に「とてもゆっくり走っているように見える」というのが、例えば、旋回スピードが速いので直線との落差が少ないとか、コーナーを大きなRで走ろうとしているのでステアリングを切る量が少なくまったりしているように見えるだったりと。

 F1とシクロはジャンルが大きく異なりますが、いかにゴールまで速く走るか、ミスをしないで結果的に強く走るかという点では、シクロクロスに通じるところがあり、アイルトン・セナの走りが、マチュー選手の走りに重なっているように感じました。

 モーションがゆっくりということは、[アクションが小さい]とか[軸がぶれない]とか[加速度が低い]というように、バイクに対する入力が急峻ではなく、なんと例えれば良いのか[柔らかい]んですよね。

  つまり、乱暴ですが端的にマチューの特長を言語化するならば、、、

[静]と[動]

動:[恵まれた体格]と[圧倒的なフィジカル]によるパワーライディング

静:[必要最低限のモーション]かつ[柔らかい体の使い方]によるスムーズライディング

この両極端の特長が高い次元でバランスしているのが、マチュー選手の凄さであり魅力であると感じています。この後少し具体的に見ていきたいと思います。

 


 

マチュー選手の特長を見てみる!

 実際のレース動画を見ながら、私が感じた[マチューの凄さ]をご紹介したいと思います。動画については、私が[ムムム、すごい]と思った特徴が映っているシーンを動画開始時間に設定しリンクを張っていますので、併せて確認頂けますと幸いです。

インデックスとしては次の4+1、最後は[動]なのですがどうしてもご紹介したい項目なので、取り上げさせてもらいます。

  1. 安定した上半身により生み出される柔軟性
  2. コーナーリングにおけるスムーズさ
  3. 他のライダーとは異なるライン取り
  4. 高乗車率によるアドバンテージ
  5. [番外]サンド区間における上体による積極的なラインコントロール
安定した上半身により生み出される柔軟性

  マチュー選手の走りの特長として[フォーム]があると思います。なんというのでしょうか、がっつりした上半身、特にたくましい広背筋による安定した背中が全体の支えになって、手足やその先にあるハンドルやバイクを支配する、そんな印象です。

 なので、上半身(特に背中側)が全体の軸として安定しているので、その代わり手足などがしっかり上下左右に動くことで、柔軟性があるように思います。

 車のサスペンションに例えれば、車体自体がふらついたり、サスペンション取り付け部がグラグラしてしまっていたら、どんなに高性能なサスペンションを取り付けたとしてもうまく機能してくれません。

 マチュー選手の場合、安定した上半身でしっかりと軸・ラインが作られ、そこに接続している手足などがしっかり機能することで、シクロの悪路を「すーっ」とスムーズに走っているように見えるのだと思います。

 ということで、冒頭記載した通り[安定した上半身により生み出される柔軟性]によりスムーズはライディングをしている動画をご紹介します。

 

★20-21シーズンワールドカップR2 NAMUR L1:2:36~

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★20-21シーズンワールドカップR2 NAMUR L6:44:08~

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★20-21シーズンワールドカップR2 NAMUR L9:1:03:19~

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  UCIのライブ中継動画のリンクを埋め込みで張り付けると、サムネイルがすべてこれになっちゃうのですね。。。わかりにくくてすみません。

 

コーナーリングにおけるスムーズさ

 安定したフォームがあるからでしょうか、マチュー選手のコーナリングはとてもスムーズで、コンパクト。[必要最低限の仕事量で最大効果を発揮させている]、そんな印象が強く伝わってきます。

 [コーナーリングにおけるスムーズさ]について、その特徴が見て取れる動画をご紹介します。

 

★20-21シーズンワールドカップR4 HULST L1:1:57~6:25

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 やや長い尺なのですが、ぜひ6分25秒付近まで見て頂きたいです。初回はマチュー選手に注目し、2回目は他の選手、3回目は、マチュー選手と他の選手を見比べながら。。。見て頂ければと思いますw

 まじですか?w

 一連の走りを通じてスムーズさが分かるところだと思います。このパートでは芝の土手をいやらしい感じで行き来する楽しそうなコースなのですが、平坦のコーナーではない分、バランスを崩してしまうライダーが多い状況の中で、淡々とシンプルにコーナをクリアしていきます。この数分の間で5位から1位に踊り出ていることから、やはりこのトップクラスの選手たちの中でも、マチュー選手の強さは秀でているるなと感じます。

 

他のライダーとは異なるライン取り

 マチュー選手のライン取りに特徴はあるでしょうか?個人的には[大胆なライン取りをしているな]と感じることが多々あります。それはもしかすると、ライディングスキルのアドバンテージがあるからより攻めることが出来るのかも知れません。しかし、実践編後半で触れますが、、、

理想的なラインを頭で描かない限り理想的なラインで走ることはできない

 私はこう考えます。なので、[夢を描かなければ実現しない]し、言い換えれば[夢を描けば実現に向けた可能性が生まれる]といことです。

 なので、マチュー選手が判断し選択しているラインが他の選手と異なる場合には、そこに何か速く走れるヒントが隠されていると思いながら、ライブ中継などを見ると、とても奥深く、何度み見返したり、スロー再生したりと、一つのレースで何度も楽しむことが出来るようになると思います。

ということで、

[他のライダーとは異なるライン取り]

について具体的な動画を見ていきたいと思います。

 

★20-21シーズンワールドカップR2 NAMUR L3:16:45~

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 どうでしょうか、、、

  • 緩やかな下り
  • 若干の泥
  • シングルトラック

と、結構頻繁に見られる?状況かと思います。普通はこのライン通りに走るのがセオリーのように思います。後続のW.VAN AERT選手は、シングルトラック上を走っていますね。

 マチュー選手はターンインの前に一度バイクをアウト側へ振っています。これによりシングルトラックの路面から落ち葉のある滑りやすい方へホイールを落としています。普通考えれば「スリップしやすい局面」ですが、このライン取り、、、実はとても奥が深いことをさらりとやっているように思いました。

 これは私が見て感じたことなので、間違っている可能性がありますが、ターンインするために必要となる「バイクを傾ける」という行為について、重心を移動させるのではなく、[バイクをアウト側へ振る事で、結果的にバイクを倒しターンインを開始させている]のではないかと思います。(実践編のライン取りコーナーで詳しく説明)

 シングルトラックの範囲内でラインを確保しようとすると、どうしても進入時のRがきつくなり出口でオーバーになりやすい。なので、手前で外から入れば大きく入って小さく抜けられる。。。ということではないかと思います。

 

 もう一つ、同じレースからのライン取りですが、他のライダーはこの区間をコーナーとして認識していますが、マチュー選手は直線として認識しているようです。マウンテンバイクっぽいラインの取り方ですね。 

★20-21シーズンワールドカップR2 NAMUR L1:8:13~8:19

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 これも、安定した上半身を軸にした手足サスが有効に動作するので、まっすぐ行くという判断がつけやすいのかも知れません。 

 

 そろそろ長くなりましたので、次お願いしますw

 

 

 高乗車率によるアドバンテージ

 男子エリート選手はかなりの乗車率だと思いますが、その中でもマチュー選手は、乗り降りの判断はスパっと迅速で切り替えも卓越していますが、粘るときの粘り具合がなかなか見ごたえあります。(納豆走法・・・とでも言いましょうか?)

 

★20-21シーズンワールドカップR2 NAMUR L4:24:15~

youtu.be

 この辺のシーンは他のレースでも結構見られる光景なので、注意して見て頂けると分かると思います。なぜ、乗車率が高いのかというのはいろんな要素があると思いますが、[うまいから]だと何も言い表せておりませんので、前段に触れた[上半身の安定と手足などの柔軟性]が、悪路への追随性の高さを生み出しているのではないかと思います。

  

[番外]サンド区間の上体によるラインコントロール

  [静]で取り上げてきている今回ですが、番外編的に[動]をひとつ取り上げます。シクロコースの中でも[サンド区間]は積極的にバイクを動かしていく必要がある特殊なセクションで、この時の動きがまたとても参考になるのです。

[[番外]サンド区間における上体による積極的なラインコントロール

 まずは、下の動画について、2021年世界選手権の動画です。4lap目、パンクで遅れを取ったW.VAN AERT選手を後方に従えてトップを快走しているところです。海岸線から折り返したフライオーバー手前のサンドです。

 

www.youtube.com

 サンド区間では、ホイールが砂に埋もれないように走るのが重要で、世界選手権は男子エリート、女子エリート、男子U23、女子U23と4レースありましたが、出場選手全員がサンド区間を降車なく走れていた訳ではなく、男子エリートでも上位勢など限られた選手が最後まで走り切れていた状況でした。

 注目したいのは、

  • 轍にホイールをなるべく添わせるように走るときのバイクコントロール
  • バイクをコントロールするためのハンドル捌き
  • ハンドルをさばくための上体(特に腕・肩)の使い方
  • 上体をうまく使うための頭の動かし方

下に行くほど、プリミティブなアクションとなります。なので、意識する動作順番としては[頭→肩→腕→ハンドル→バイク→ホイール]とみると一連の動作が分かりやすいと思います。

 さらに、轍から外れたシーンではより一層この動作が顕著になり、速度がさらにおち、抵抗がかかる局面になればなるほど、そのまま進むのではなく、積極的にハンドルを左右に振り、ホイールが埋もれないようなバイクコントロールを行っています。

 ・・・サンド研究の結果はもっといろんなことが語れるのですが、番外編ということもあり、いったんこの辺でSTOPしておきます。(コーナーリング編が終わった後、障害物編のコーナーで詳しく取り上げる予定です、、、秋ごろ執筆予定w)

 同じレースでもう少し違った局面でのシーンについてもご紹介しておきます。

 

 ★2021世界選手権 Lap5  32:00~海岸折り返し後フライオーバー手前区間

 youtu.be

 

 ★2021世界選手権 Lap7:49:42~[フライオーバ後~海岸線区間

www.youtube.com

 

 ★2021世界選手権  Lap8 57:05~[フライオーバ後~海岸線区間

www.youtube.com

 

今回のまとめ

 今回は、マチュー・ファンデルプール選手の強さの秘訣について、私が感じたことをご紹介しました。UCIの全レースをスローで再生して見たので、ご紹介したいシーンはまだまだたくさんあるのですが、リンクでご紹介せざるを得ない中で、これ以上長い情報をお渡ししても見にくくなってしまうと思いました。

 

 

まとめ
  • 圧倒的なフィジカルに合わせて卓越したスキルがある
  • そのスキルに派手さは皆無
  • 安定した上半身と柔軟な手足が不確定な路面に対して常にRedy
  • スムーズなので、コーナーなどでのスピードダウンが少なく、結果アベレージを維持するための体力が温存できる
  • にも拘わらずフィジカルも強いので、ちょっと圧倒的な強さになっている

 

 最後ちょっと乱暴なまとめになってしまいましたが、我々アマチュアライダーにとって、ライン取りなど思考に依存するものや、安定したフォームの維持などは、決して参考にできないものではないので、少しずつでもエッセンスを取り込んで練習し、本番に臨んでも良いと思います。

 

  

 

最後までご覧頂きありがとうございました。


 

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